蚕種価格の協定経過

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不本意な協定の歴史

昭和初期における蚕種価格は、蚕種同業組合の協定によって各県毎に決められていました。標準価格は1瓦当りの取決めから、昭和8年に10瓦が取引単位となり、1.05~1.50円が相場でした。また当年から標準価格は蚕種製造費が基礎として採用されました。戦時中は価格統制となり、製造繭代から蚕種代が徴収されていました。昭和21年以降は物価統制令によって大蔵省から価格が公示されました。

昭和24年当時、10瓦の価格は母体毎に異なり250円~340円でした。なお当時調査されていた製造費は275円程度で、製造費は一応確保されていました。またこの頃から売買当事者間で価格問題が話し合われましたが、平行線のまま難交渉の幕が開かれることになりました。(昭和24年には物価統制令が廃止され、自由経済の時代に入ります。)

昭和39年、中央で蚕種価格算定方式についての協議が持たれ、蚕種側、養蚕側の専門委員によって細部に亘る検討が行われました。その結果、蚕種価格は繭糸価格にスライドして算定することになりましたが、双方の主張に大きな隔たりがあり、交渉は容易にまとまらず不本意な協定が行われました。

昭和40年に行われた中央協定は次の通りでしたが、当時の蚕種取引の実態は正常に行われていませんでした。すなわち増量補填蚕種の代金化は不明確で、さらに各県毎の協定内容に格差があるなど、蚕種の弱点が露呈される中で協定が行われました。

  • 基準糸価 5,054円、採用糸価 4,337円
  • 基準蚕種価格 蚕種側主張1,244円、養蚕側主張1,190円
  • 折半価格 1,217円

昭和46年中央協定内容

  • 基準糸価 7,100円、上限価格 1,700円、下限価格 1,500円。上限価格の50%を固定、残り50%を糸価変動分とする
  • 蚕種側主張(1700円×0.5)+(1700円×0.5×採用糸価/7100円)
  • 養蚕側主張(1500円×0.5)+(1500円×0.5×採用糸価/7100円)

上記折半価格で決定

平成2年中央協定内容

  • 基準糸価 10,400円、基準繭価 1,518円

基準蚕種価格

  • 蚕種側主張3,612円、養蚕側主張2,994円
  • 折半価格 3,303円

当年以降、糸価は10,400円を下回りましたが蚕種価格は3,303円に据置かれ、繭価も取引指指導価格として1,518円が採用されることになりました。

蚕種比率の算出方法

蚕種の秤量

蚕種価格3303円 ÷ 取引指導繭価対応糸価10400円 = 0.3176

なお平成10年からは、優良蚕種安定供給費として200円が加算され今日に至っています。蚕種価格についての矛盾は過去に遡ってみれば、価格協定の出発時から繭代に含まれる製造費に連動した中での協議でした。

中央でも昭和48年以降、蚕種価格の製造費保証制を強力に要請していますが、実現していません。